本研究の目的は、時空間制約下での活動・交通分析の枠組みの中で、人々は移動空間を含めた都市空間における活動機会を考慮して活動・交通パターンの意思決定を行っているという仮説を立て、それを検証するための調査・分析手法を開発し、実証研究を行うことである。具体的には、(1)観測調査による移動中の活動の実態把握、(2)アンケート調査およびインタビュー調査による移動中の活動と活動スケジュールの関係の理解、(3)移動中の活動を含めた活動スケジューリングの意思決定のモデリング、を行うことを目的とする。 本年度の研究成果を以下にまとめる。 1)移動中に実行可能な活動の再整理と行動分析 徒歩、自転車、自動車運転・同乗、鉄道乗車・待ち、などの交通モード別サービス状況(混雑度や着席可能性、webや携帯電話の利用可能性など)などの「交通環境」と、移動目的、移動時間、1日の活動スケジュール、情報通信手段の保有などの「個人の移動状況」を考慮して、移動中に実行可能な活動に関する再整理を行った。また、鉄道駅における待ち合わせ行動、および若者カップルのコミュニケーション行動に関して、移動中の活動という視点を考慮した分析を行った。 2)バス停・電停における待ち時間中のアクティビティの調査・分析 バス・路面電車利用時の停留所における待ち時間も移動中の一部と位置づけ、環境の異なる複数のバス停・電停において、観測調査とアンケート調査を行い、待ち時間中のアクティビティの実態把握と待ち抵抗や停留所に必要とされる設備との関係について分析を行った。
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