1.研究の目的:本研究では大阪平野の気温分布の実測をおこない、気温分布図の作成に必要な時空間補間の方法について検討をおこなう。計測対象エリアは大阪市を中心に、北は豊中市・吹田市・摂津市、東は守口市・門真市・東大阪市・八尾市、南は堺市・松原市とする。 2・H17年度の結果:今年度は気温データ収集に重点をおいて、以下の実測結果を得た。 (1)定点観測は、代表的な郊外として「万博記念公園」、都心として大阪市中央区「難波周辺」に気象観測点を新設した(平成17年度9月)。「難波周辺」は関西電力(株)の電柱を利用して、高さ6m程度の位置に風向風速、温湿度センサーなどを計4ヶ所に設置。さらに、通信鉄塔(地上高さ86m)を利用して鉛直方向の温度分布も観測できるようにした。「万博記念公園」では公園周縁部に気象観測装置を専用の3脚に設置して、高さ1.5mで計測。定期的にデータ回収をおこない、固定点データの分析をおこなっている。11月の良く晴れた深夜に「難波周辺」と「万博記念公園」とでは最大で6.0〜5.0度の差が生じていた。 (2)移動観測は自動車のルーフキャリアにセンサーとGPSを搭載し、深夜に高速道路を利用して大阪平野を3時間程度で1周し計測する。平成17年8月以降、毎月4回程度継続的に実施している。測定項目は、気温、赤外放射量、日射量、路面温度である。大阪市中心部と郊外(豊中北部、万博公園、堺市内陸部)との気温差は、11月の良く晴れた深夜に最大で6.0〜5.0度であった。固定観測点の結果とほぼ同様である。季節ごと、あるいは雲の状態によって気温差(ヒートアイランド強度)の傾向が異なることがわかった。
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