研究概要 |
本研究は,可動吹出し空調の大空間への適用を目的とし,居住域における温熱・気流性状把握について,LESを用いて解析を行っている。本年度は、CFD解析の精度向上のために、各種乱流モデルを用いて解析を行った。また、LESの実現象再現性について重点的に検討を行った。本年度に得られた結果を以下に示す。 ・自然対流の卓越する室のCFD解析の適用可能性に関する基礎研究(低Reynolds数型k-εモデルと測定実験との比較) 床暖房室内の気流性状・温度分布について乱流モデルに標準型k-εモデルを用いたCFD解析を行い、測定実験と比較検討を行った。その結果、CFD解析が比較的静穏で自然対流の卓越した床暖房室内の解析・予測に適応可能であることを示した。また、低Reynolds数型k-εモデルを用いて気流性状温度分布のCFD解析を行った結果、低Reynolds数型k-εモデルは標準型k-εモデルよりも測定結果を精度よく再現できることを示した。 ・自然対流の卓越する室のCFD解析の適用可能性に関する基礎研究(LESと測定実験との比較) 比較的静穏な温熱環境に対して、LES解析を実行する上で内包する諸問題の把握を行うとともに、LESの適用可能性について検討を行った。LES及び標準型k-εモデルを適用して解析を行った結果、温度分布に関しては、標準型k-εモデルよりもLESの方が高精度に実現象を再現することを示した。さらに、LESは、減衰関数を適用しない場合、風速分布では壁面近傍でv_<SGS>を過大評価することを明らかにした。 ・通風による室内環境改善効果の定量的把握に関する研究 単純な開口を持つ低層建物を対象とし,通風算定時に重要となる風圧係数の予測精度向上を目的に,標準k-εとDurbinモデル,風洞実験を比較し,CFD解析による風圧係数予測精度に関する検討を行った。
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