高度情報化社会が現実のものとなり、業務システムから市民生活にいたるまで情報化は社会全般に浸透しつつある。電子政府、電子自治体の推進や通信と放送の融合、ユビキタスコンピューティングやインターネット・プロトコル(IP)ver.6の本格的登場等を控え、コンピュータは一層幅広くネットワークされていくことが予想される。コンピューターネットワークに依存した都市活動への移行により、そのセキュリティー対策は更に重要性を増すことになる。こうした状況の中、IT基盤やネットワークトラフィックの東京一極集中の問題等が指摘されている東京圏では、切迫性が指摘されている南関東直下型地震への対策が急務である。政治、経済の中枢を担う首都直下の地震では、直接被害と共に大きな間接被害が発生することが予想され、間接被害の多くはコンピュータシステムの安全性に起因すると考えられる。業務継続等により高いレベルでの信頼性を求められる地域では、信頼性向上のためのインフラ面での対策を伴った、非常時においても支障なく機能するような相応のセキュリティーシステムの構築が必要である。そういった考え方のもと、今年度の研究ではコンピューターシステムの安全性・信頼性向上のための基礎的研究として、東京都心部に於ける基幹業務を担うコンピューターの導入実績のある箇所と導入実績台数の分布に関する調査を行い、コンピューターシステムを支えるより強固なインフラストラクチャーの整備に向けての考察を行うとともに、大深度地下空間を活用したライフライン幹線実現を目途として、複数の企業が共同で防災に関する都市基盤整備に投資することで、首都直下地震時においてもライフライン系の安定供給を確保し、BCP(事業継続計画)を遂行できる地域の仕組みを「安全街区」として提案し、システム構築と有効性の検証を行った。
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