今年度の研究においては、都市の防災基盤整備としての安全街区構築のためのスキーム検討として、アメリカへの調査研究を行い、新たな保険制度の提案を目指して下記項目について検討を進めた。BCPのISO化や、企業統治の一環として企業の一層の危機管理が求められる中で、都市のライフラインや建築の設備系統を強固に整備して、特別に信頼性を高めた地域を、日本独自の「安全街区」として提案する。こうした「安全街区」が実現した場合の、安全街区内の高い仕様の建物について、地震利益保険や再保険市場での査定、あるいは不動産投資市場における評価への影響について調査を行った。 【1】安全街区が実現した場合、安全街区内のhigh-grade buildingsについて、 (1)地震利益保険(事業中断の損害対策)の成立可能性について (2)保険の査定、再保険市場での評価への影響について (3)不動産投資市場における評価への影響について(デューデリジェンス等) 【2】BCPのISO化や、企業統治(コーポレートガバナンス)の一環として企業の危機管理が求められる中で、地震リスクの大きなカリフォルニアにおける建築設備系や都市のインフラ・ライフライン系のリスクへの対応策の現状について また、環境と防災両面に資する「都市環境インフラ」の構築に向けての包括的な概念検討を継続して進めており、関連の実測調査や現地調査、文献調査を組み合わせ、今後の研究展開に資する基盤的な要素について幅広く検討を行い成果を得た。研究は、1.人工系都市基盤・都市インフラに関連する研究、2.都市内自然資本に関連する研究、3.各都市の基礎調査、4.安全・安心確保のための関連事例等の基礎調査に分類される。関連する社会的な要求を背景に、意義ある研究を行うことができた。研究助成に御礼申し上げる次第である。
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