本年度の研究予定項目として、1.室配置システムに関連する既往研究の問題点抽出と体系化、2.配置単位のヒエラルキーを解体して設計された実施設計例の抽出と調査、3.対象領域の整理、4.プログラムのアルゴリズムの検討と実装を掲げていた。1.については、これまでに発表された室配置問題に関連する文献を、国内・国外あわせて網羅的にレビューし、室配置問題が本質的に抱える課題について論理的に整理をするとともに、既往のシステムの課題を抽出することで、本研究で開発するシステムの方向性を導き出した。2.については、本研究で生成させる配置パターンを意図しながら、現代建築の新たな潮流として登場し始めている、配置単位のヒエラルキーを解体して再び構成されたような平面構成を持つ建築について、関連文献による調査と実地調査を数回重ね、新たな建築の可能性について再確認を行った。3.については、前記の調査を踏まえて、プログラムの具体的な検討の前提となる対象建物の領域を整理し、システムの特徴を明確化する作業を行った。4.については、具体的なプログラム・コードを編成するために必要なアルゴリズムについて検討し、来年度以降のシステム開発のための準備を行った。本年度はほぼ予定通りの研究スケジュールとなったが、加えて、これまであまり扱われたことのなかった建物の周辺環境に対する評価を組み込んだ室配置システムの開発にも着手し、一定の成果を収めた。今後はフレキシブルユニットという建築的な概念をシステムに組み込むべく、検討を重ねたアルゴリズムをプログラム・コードという形で実装し、さらに周辺環境を評価できるシステムを目指して総合化するための作業を行っていく予定である。
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