研究課題
昨今、建築分野において景観調和が注目されてきており景観緑三法が制定された。この中で色彩については、景観に与える影響等その役割が認識されてきており取り上げられてはいるものの、具体的な数値などの指針はない。しかしながら各自治体も景観条例をふまえ、景観色彩の指針として「景観色彩ガイドライン」を策定してきている。このような状況を鑑みると、景観色彩に関する客観的根拠を持った指針の作成は急務を要すると考えられる。本研究では、景観色彩ガイドラインの検証と、今後の景観色彩ガイドラインのあり方を提案することを目的としており、2005年度は、国内外の景観保全や改善の事例を、色彩に中心に収集・類型化し、考察した。事例のうち、韓国ソウル市の清渓川の復元に伴うプロジェクトでは、川の両側の街路の屋外広告をほとんどリニューアルするという大規模なものであり、業種別に色を整えたり、ピクトグラムを使って文字を減らしたりするなど、景観整備のあり方を示すものであった。特に、ここでは、CIカラーを持つ多国籍企業が、自らその街並に合わせ、高彩度のCIカラーを使った看板の地色を無彩色に変更しており、国際的な都市である日本、とくに地方にみられるCIカラーが乱立する街道沿いの景観整備に参考となる事例であった。香港の場合には、ニュータウンである新界地をはじめとして、高層住宅の色彩調和がよく図られていた。今後、この整備手段等を調和する予定である。ほかに、ボストンの景観整備の調査も行った。
すべて 2006
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サインズインジャパン Vol.1, No.119(印刷中)