景観色彩ガイドラインのあり方を検討するため、2005年度に引き続き、アメリカ合衆国ボストン及びニューヨーク、日本の近江八幡他、各地の景観色彩の調査及び分析を行った。特に、街並みにおける屋外広告の色彩は、景観色彩を考える上で欠くことのできない要素であるため、重点的に資料収集を行った。景観色彩および屋外広告の調査からは、形式を統一した屋外広告を用いることによって街並みに統一感を与えることができ、これら統一した屋外広告のデザイン的な特徴や色彩によって街並みの独自性を作り出すことができることが明らかになった。屋外広告の躯体には電話ボックスや公衆トイレなど広告以外の機能を合わせたものも見られ、積極的に街並みの賑わいや公共性に利用する方法も見出された。一方、商業地域の中には屋外広告が自由に使われたり建築物が屋外広告にほとんど覆われたりしている地域も見られ、屋外広告を活用して街の賑わいを創出する方法が見て取れた。 景観色彩における公共的サインに関しても調査・考察を行った。サインは屋外広告と同様に、誘目性が高くなければならないが、ただ目立つだけでなく周辺との調和も図らなければならない。建築物や人工構造物によって主に構成されている都市景観におけるサインと、公園や並木道など樹木が占める割合が多い景観におけるサインとでは、周囲と調和する地色が異なること、また、調和を図ることが難しいサインであっても、石や木などといった自然素材を用いて周囲の景観と調和させつつ、存在感を表すことができることが明らかになった。
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