本年度は昨年度に行ったアンケート調査の平面分析結果に基づき、特徴的なグループホーム(改修型ホームも含めて)を10箇所選定した。現地訪問や行動観察調査を通して空間的しつらえなども含めたグループホームにおける空間の質を明らかにすることを目的とした。 まず、入居者の生活単位と運営的な介護単位が異なるという典型的な空間構成をもつ福島県いわき市にあるグループホームYの家を対象に、行動観察調査を計3日間行った。現在の家庭的な単位に近い(4〜5人)を生活単位としていることは入居者の生活の質の向上につながる一方、現在の制度上のスタッフの介護体制では難しいことが明らかになった。 また、改修型グループホームを対象とした調査は石川県加賀市にある民家改修型のグループホームにて、行動観察調査を行った。 また、アンケート調査を通して初めて明らかになったわが国のグループホームの空間像(一般像)を通して、建築計画分野の研究で得られた知見がグループホームの設計、計画に十分生かしていないことがわかった。全体的に、わが国のグループホームの空間の質において、大きなバラツキが見られた。一部の先進的事例を注目するより、全体の空間の質の向上は今後の大きな課題であることが明らかになった。
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