今年度は国内の地震災害事例についてデータの収集及び分析を行った。対象とした事例は、過去20年で公的仮設住宅を100戸以上供給した事例である雲仙普賢岳災害(1990)、北海道南西沖地震(1993)、阪神・淡路大震災(1995)、宮城県北部連続地震(2003)、新潟県中越地震(2004)であり、仮設住宅及び復興住宅の建設箇所・供給戸数・地理データ(緯度・経度)を収集した。さらに阪神・淡路大震災(1995)および新潟中越地震(2003)については避難所立地データも加味し、被災後の公的な居住空間供給に関する詳細定量モデルを構築することができた。阪神・淡路大震災事例からは、仮設住宅の分散性に比べ公的復興住宅の被災地立地性が高いことや、被災市町村によって供給住宅の立地指数に差異が大きいことなどが明確となり、今後これらの評価を行うことが必要である。新潟中越地震に関しては、被災エリアが地理的に分散しており、その結果小規模避難所数の増大、仮設住宅供給の被災エリアとの乖離実態といった課題が定量的に示された。この結果から、次年度は既存の被災者調査とのマッチングを行い、災害後の居住地供給の地理的分布特性が被災者心理や生活再建に与えた影響について分析を行うとともに、海外事例の収集を行うものとする。
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