今年度はトルコ・台湾における復興住宅団地に関する地理データの収集を行った。復旧・復興過程における住宅供給策の特徴はトルコ・台湾・日本で大きく異なっているが、今後はさらに地理情報を分析することによる定量的な違いを示すことが可能となる。トルコの公的住宅供給は、阪神・淡路大震災と類似しているが、より大規模型であり、これらが都市復興及び被災者復興に与えた影響についてさらに検討を進める必要がある。台湾の公的住宅供給は、他の支援策に比べて割合が低いことが特徴である。仮設住宅の地理的供給に関して、被災地域や入居者との関係をより詳しく見ることにより、さらに住宅供給の特徴を明らかにすることができる。 また国内の各災害事例の仮設住宅・公営住宅の供給実態の詳細分析を継続しつつ、阪神・淡路大震災被災地に関しては、2005年の国勢調査の結果を加味した被災地の変容状況に関する分析及び、復興公営住宅居住者の移動過程に関する研究を実施した。その結果、神戸市東部に居住していた被災者は、おおよ6:13:1の割合で、地域内公営住宅:他区公営住宅:他市公営住宅となっていたこと、神戸市西部はおおよそ5:4:1の割合であったことがわかった。この研究では、仮住まいの地理的分布が公営住宅の選択に影響力を有していたこと、この要因の一つとして長期化する仮住まい期があること、が明らかになり、公的住宅供給計画が被災後の居住者再配置に大きな影響を持っていることが明らかになった。
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