研究課題
平成18年度は、日立市における工業系企業の産業基盤整備と都市計画行政との関係について明らかにし、学会で公表した。日立市の都市形成過程は、工業系企業の都市計画への関与の相違、すなわち(1)企業が生産施設の建設に重点を置いている段階、(2)企業が都市内において企業内分業を展開し、工業生産の一環として都市計画に直接関与する段階、(3)企業が工場建設にあたって都市全体にわたる一体的な都市計画に関与する段階、という3段階と明確に対応していることについて明らかにした。(1)では企業は生産施設の整備に重点を置いており、産業基盤整備がおこなわれた生産ライン上において都市が形成されていった。(2)の段階では、企業による産業基盤整備が計画的に実施される一方、無秩序な都市開発が進行し、二重構造の都市形成プロセスが展開された。そして(3)では、(2)の反省をふまえ、新工場建設にあたって一体的な新都市建設を新興工業都市計画事業によって実施したことを明らかにした。また昨今、再編が迫られている企業社宅について、日立市と倉敷市を事例に分析をおこなった。日立市では近代産業遺産としても重要視される日立製作所会瀬社宅に注目し、社宅街の建設プロセスの実態について明らかにした。その結果、初期段階において建設された高級社宅がいまでも現存していることが明らかとなった。また日立市の社宅街の再編についても考察した。一方、倉敷については、倉敷紡績を事例として取り上げ、大原孫三郎による女工寄宿舎の改善過程について分析するとともに職員社宅の建設や郊外住宅地開発等についても明らかにした。以上の成果についても、学会等において公表済みである。
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International Conference on East Asian Architectural Culture Kyoto 2006- Reassessing East Asia in the Light of Urban and Architectural History - II
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日本建築学会大会学術講演梗概集 F-2分冊
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