本年度の研究目的である、近畿地方6府県の古社寺建造物調査記録の所在調査を行った。4月から7月にかけては、各府県の公立図書館・文書館への電話での取材と目録の調査により、関係すると思われる資料のリストアップを行った。8月以降、各館において資料の確認と撮影、複写を行った。その結果は以下の通りである。 1.奈良:奈良県立図書館において「大和国四百年前古社寺調」の撮影、複写を行い、「明治二十八年 古社沿革史(大和国)」「明治二十八年四月内務省訓令第三号 古社寺沿革史 寺院之部」の所在と内容を確認した。 2.京都:京都府立総合資料館において「京都府古社寺取調書」六冊の所在と内容を確認した。 3.滋賀:滋賀県庁県民情報室において資料の捜索を行ったが、該当する資料はなく、関係する公文書数点の複写を行った。 4.大阪:該当資料の所蔵先を、引き続き調査中である。 5.和歌山:和歌山県立文書館において資料の捜索を行ったが、該当する資料は発見できなかった。 6.兵庫:兵庫県公館県政資料館および神戸市文書館において資料の捜索を行ったが、該当する資料は発見できなかった。 7.ほか:東京都立中央図書館において「京都府下四百年前社寺建物調書」の複写を、国文学研究資料館において「京都府下著名古社寺由緒並殿堂保存調書」の複写をそれぞれ行った。 所蔵調査において判明したことは、各府県における該当資料の保管状況は思わしくなく、未整理、非公開、廃棄などの理由により所在不明であるケースが多く見られた。ただし7.の通り県外の他機関に関係資料があるケースもあり、次年度は捜索対象を広げて、さらに資料の収集を進めたい。
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