平成17年度は当初の目的であった現地イタリアにおいて現存するスカモッツィの建築作品の調査、ならびに資料収集を実施した。調査結果は以下の通りである。 調査1 ヴィチェンツァ周辺に現存する作品としてフェッラモスカ荘、ヴェルラート荘、ピザーニ荘、トリッシーノ邸(1)、オリンピコ劇場、トリッシーノ邸(2)、聖カルロの小堂を調査した。調査内容は、建物の平面構成・空間構成、建物正面の全体と細部、各室内部の空間構成ならびに装飾である。スカモッツィの建築書所収の図面と比較して、異なる部分や手を加えられている部分が見られた。また所有者の都合上、ヴェルラート荘、トリッシーノ邸(1)(2)、聖カルロの小堂については、内部構成を確認することができなかった。 調査2 ヴェネツィアに現存する作品としてプロクラティエ・ヌォーヴェ(新庁舎)、サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会内部香部屋入口装飾、聖ニコロ・ダ・トレンティーノ教会、コンタリーニ邸、マルチャーナ図書館内一室の室内装飾を調査した。調査内容は、建物の平面構成・空間構成、建物正面の全体と細部、各室内部の空間構成ならびに装飾である。 平成18年度は、これらのデータを整理することを中心とした。現在、上記調査対象の空間構成について分析を行っている。 また、平成19年度にはパドヴァに現存する幾つかの建物を調査することになる。
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