平成19年度は、平成17年度から行ってきたイタリア現地での建物の実測、建物に関連する資料の収集について、データ整理と資料の読解を実施した。そもそも本研究は、スカモッツィの建築作品がルネサンス後期、マニエリスム期、バロック前期の狭間に計画されたものであることから、その作品に時代の思想や様式の変化を見出すことを目的として開始された。現在のところ、スカモッツィの作品は、前期、中期、後期に分類でき、はっきりと表面化するものではないが、確かに時代の狭間に計画された、すなわち混沌とした時代の痕跡が建築様式に表れていることを見出している。 今後の研究としては、この基本研究を継続していき、建築様式の系統化、そしてそれを裏付ける思想の中身を明らかにしていきたいと考えている。
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