研究課題
本研究の目的は、様々な常温イオン液体中において、金単結晶上のナノアイランドの崩壊過程について電位制御下で観察を行い、アイランドを取り囲む環境、具体的には、常温イオン液体/金単結晶界面に形成されるポテンシャル場がアイランドの崩壊過程に与える影響について明らかにすることである。上記の目的に基づき、昨年度は、3種類の常温イオン液体、具体的には、EMImTFSI、BMImBF_4、BMImTFSIを用いて、これらのイオン液体中において、Au(100)単結晶上の孤立したナノアイランドが、どのように崩壊していくかについて観察を行った。その結果、それ以前に観察していたEMImBF_4の場合も含め、常温イオン液体の種類により、ナノアイランド崩壊過程やその電位依存性が大きく異なることがわかった。今年度は、昨年度の結果を受けて、ナノアイランド崩壊過程が固液界面の状態の影響を大きく受けていると考え、固液界面に形成されるポテンシャル場(具体的にはゼロ電荷電位や表面過剰電荷等)に関する知見を与える測定手法である電気化学交流インピーダンス測定に着目し、上記4つの常温イオン液体/Au(100)界面のインピーダンスを測定した。その結果、EMImTFSI、BMImBF_4、BMImTFSIの場合と比較して、EMImBF_4はインピーダンスの電位依存性が大きいことがわかった。また、インピーダンスの絶対値はEMImBF_4が一番大きく、次いでEMImTFSI、BMImBF_4で、BMImTFSIが最も小さいことがわかった。これらの傾向がなぜ現れるのか、今回のインピーダンス測定の結果からゼロ電荷電位や表面過剰電荷はどのように見積もるか、それらがナノアイランド崩壊過程とどのように関係するのか、についての知見を得ることが、来年度の課題である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Japanese Journal of Applied Physics Vol.45,No.3B
ページ: 2295-2297
第3回低温溶融塩・イオニックリキッドセミナー資料
ページ: 18-24