研究概要 |
本研究では2軸磁場を用いた新規粒子配向成形プロセスにより,特性の優れた結晶軸を配向させた高機能性セラミックスを創製することを目的とした.2軸磁場の新規性は,1軸磁場では配向困難軸を配向させられる点である.水平面内で複数方向から磁場を連続的に印加すると,磁場に垂直な方向は回転軸方向に限られるので,反磁性磁化率の大きなc軸を揃えられる.本年度は,昨年度に引き続き,回転磁場における条件を制御して,配向度の向上を目指すことを試みた.ZnO, Al添加ZnO, KSr_2Nb_5O_<15>の系に適用した.KSr_2Nb_5O_<15>は,分極操作が可能な強誘電体結晶で,2軸磁場による配向方向が分極方向と同じであることが予測され,圧電特性などの機能特性向上が期待される系である. スラリーを調製後,モールド中に流し込み,10テスラの高磁場中で,自作の回転装置を用いて,回転数30rpmの条件で乾燥固化させた.成形体,焼結体の配向構造をXRDを用いて確認後,配向度をLotgering factorで評価した.原料粉は,ZnOについては市販のものを,KSr_2Nb_5O_<15>については,SrCO_3,K_2CO_3,Nb_2O_5粉を用いて固相反応より合成したものを用いた. ZnO, Al添加ZnO,およびニオブ酸系酸化物では,いずれもc軸配向が確認され,室温での配向度は0.5程度となった.配向度は焼結とともに向上し,いずれの場合においても0.9以上の高い配向となった.これは,緻密化と粒成長の影響によるものである. 特性の点では,Al添加c軸配向酸化亜鉛では電気伝導性に異方性が生じることを示した.また,c軸配向KSr_2Nb_5O_<15>の系では,圧電特性を示す圧電定数d_<33>が78pc/Nとなり,単結晶の値に近い値となった.また,これは無配向の40pC/Nの2倍近い値であり,配向の効果を示すことができた.
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