研究概要 |
織物複合材料の減衰特性評価法の開発にあたり、有限要素解析プログラムの開発を行った。繊維束の織り構造を考慮した不均質体モデルを導入し,ひずみエネルギ理論に基づき振動減衰モデルの定式化を行い、織り構造が振動特性に及ぼす影響を評価する方法を考案した.この定式化をもとに、有限要素解析プログラムを構築した。提案法の有効性を検証するため、GFRP織物複合材料を対象に計算結果と振動試験結果を比較した。その結果、固有振動数の最大誤差は約5%、モード減衰比は約10%と、提案法の有効性を確認した。また繊維束の配向方向が振動特性に及ぼす影響を計算および振動試験により検討した結果、繊維束配向方向が45度のときに減衰比が最大になることが明らかになった。また開発プログラムにより繊維束の配向方向が振動特性に及ぼす影響が推定可能であることを示した。さらに繊維束の開繊度が減衰特性に及ぼす影響を調査した結果、各モード減衰比に及ぼす影響はほとんどないが、開繊度が大きいほど構造全体でエネルギを消散していることが計算により明らかになった。 また、材料減衰測定装置の開発を目的とし、低真空下振動試験中の振幅測定装置を開発した。まず、低真空中で試験可能な振動試験装置を開発し、真空度が材料減衰の測定結果に及ぼす影響を定量的に評価した。その結果、圧力が測定結果に50%以上の影響を及ぼすこともあり、材料減衰特性を測定するためには10^<-3>Pa以下まで減圧する必要があることを示した。
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