高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)の研削スラッジと廃アルミニウム缶ペレットを純Fe及び純Alと仮定してFe-28at%Alに秤量し、高周波溶解炉を用いて溶解し、φ10×285mmのRe-Fe_3Al鋳塊を作製し、リサイクル型のFe_3Al基複合材料(Re-Fe_3Al)を作製した。硬さはビッカース硬さ(HV)試験機を用いた。摩擦摩耗試験はpin on disk式でスピンドル油潤滑下の湿式にて荷重29〜88N、すべり速度0.21m/s、すべり距離188mで行った。相手ディスク材にはダイヤモンド砥石(#600)を用い、創製した試料と鋳鉄およびFe_3Alと比較した。ピン試料組織と構造はSEM、EPMA、X線回折法およびTEMを用いて調べた。 作製したRe-Fe_3Alの鋳造断面についてSEM観察を行った結果、母相の粒径は1〜4mmと粗大であり、粒内には長さ100μm、幅10μm程度の針状の化合物が生成・分散していた。この針状化合物について詳細に調べるためにTEMを用いて組織観察を行った。生成した針状化合物について[111]入射から得られた電子線回折パターンを調べた結果、Fe_3Al母相と針状化合物の間には特定の方位関係は認められなかったが、母相はFe_3Al(DO_3型構造)であり、針状の化合物はFe_3AlC_<0.5>である事が分かった。作製したRe-Fe_3Alについて摩擦摩耗試験を行った。比較として、FC200および純鉄および純Alから作製したFe_3Alについても調べた。各材料ともに負荷荷重の増加に伴い摩耗量が増加した、負荷荷重88NにおいてFC200の摩耗量は1068μmであるのに対し、Re-Fe_3Alは560μmと、摩耗量が半分程度と少ないことがわかった。以上の事から、廃材同士を溶解する事で、SUJ2に含まれる炭素をカーバイドとして生成させたRe-Fe_3Al作製可能であり、作製したRe-Fe_3Alは摩耗材料で使用されるFC200と比較して優れた耐摩耗特性を有している事が明らかとなった。
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