研究概要 |
マグネシウム合金の切削チップのリサイクルを目的とした熱間押出に関して,R-ダイスを使用し,押出材の表面性状および表面温度上昇に及ぼす押出ラム速度の影響を調査した。その結果,R=100の高押出比であっても,押出ラム速度が3mm/sまではミクロ的にも表面割れを発生しない良好な押出材が得られることがわかった。しかし5mm/sまで押出ラム速度を大きくすると押出方向にほぼ直角な表面割れを全面に発生した。また押出材表面層に結晶粒粗大化した領域を帯状に発生した。この領域における結晶粒粗大化傾向は押出ラム速度および押出温度の増大によって顕著になることがわかった。押出後にコンテナ内部にコンテナ内部に残ったディスカードのミクロ組織観察結果によれば,ダイス面に沿ってベアリング部へ流入した段階で急激な温度上昇が生じており,押出材表面層の結晶粒粗大化の原因と考えられる。窒素ガス冷却をしない場合,押出ラム速度の増大によって,押出材表面で著しい温度上昇が認められた。ダイス出口部の押出材を窒素ガス冷却することによって温度上昇が抑制される。その結果,高い押出ラム速度でも結晶粒粗大化しないため,押出材の表面割れや伸びの低下を抑制できた。 これらの結果を踏まえ,マグネシウム合金複合化材料の創製として,まずSiC粒子を混合した実験を行なった。その結果,混合後に作製した冷間圧粉体を熱間押出した場合に比べて,ECAP+熱間押出しを行なうことによりSiC粒子の凝集体が分断され,均質かつ微細に分散することがわかった。またひずみ速度が10-1s-1付近で超塑性特性の指標となるひずみ速度感受性指数がm=0.43となり,高速超塑性の可能性を秘めていることがわかった。そこで次年度はこの適切な複合化条件を用いて軽量磁石の創製を試み,諸特性の評価を行なう。
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