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2006 年度 実績報告書

機械的に対流を防いだ液体金属の熱伝導度精密測定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17760592
研究機関東京工業大学

研究代表者

林 幸  東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (80302967)

キーワード熱伝導度 / 液体Sn-Ag合金 / 非定常熱線法 / Wiedemann-Franz則 / ローレンツ数 / 対流
研究概要

非定常熱線法により1100℃までの液体金属の熱伝導度を精密に測定する方法を開発し、液体Sn及び液体Sn-5,30,60,70,80at%Ag合金の熱伝導度の温度及び組成依存性を求め、Wiedemann-Franz則の適応性を明らかにした。非定常熱線法は、測定時間が短時間であり、データから対流発生を検知することが可能であるため、液体物質の熱伝導度測定に最適である。しかし、金属のように試料が導電物質である場合には、熱線に流す電流が試料に漏れるため、熱線と試料を絶縁する必要がある。本研究では、0.15mm径のモリブデン線に電気泳動法により厚さ80μmのアルミナ皮膜をコーティングしたものを熱線として用いた。電子線マイクロアナライザ(EPMA)により熱線と皮膜の密着性を確認した。また液体Snの測定により、1100℃以上の温度では皮膜の密着性が悪くなり、見かけ上熱伝導度が真の値よりも低く測定されるが、それ以下の温度では測定可能であることを明らかにした。熱対流の発生を防ぐために、試料上部の温度を下部より3℃高くした。また、輻射熱により試料表面の温度が下がることが無いように、かつ自由表面の存在によりマランゴニー対流が発生しないように試料表面にアルミナ板を置いた。その結果、対流の発生が抑制され、対流の影響を受けないデータが取得できた。次に、皮膜の影響が測定値に与える影響を理論計算により推算した。その結果、熱線への通電開始後0.8秒から2.0秒のプロファィルを測定値として用いる場合、皮膜の影響により熱伝導度は真の値より3%低く測定されることが分かった。3%はデータのばらつき(10%)以内であるため、皮膜の影響は無いといえる。また、過去の液体Sn及び液体Sn-Ag合金の電気伝導度のデータを用いてWiedemann-Franz則によりローレンツ数を求めた結果、自由電子論を仮定した理論ローレンツ数2.45×10-8WΩ/deg^2の80%程度の値となった。これは、電子間の非弾性散乱の影響によるものであると考えられる。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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