本年度は昨年度に引き続き種々のサイズのナノチャンネルを有するメソポーラスシリカを合成することを目的とした。しかしながら、当初考えていた合成法では有機無機複合体が生成しなかったため、アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)をシリカ源であるオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)と同時に混合することによりアミノプロピル基含有メソポーラスシリカを得た。合成時に添加するAPTES量や界面活性剤の炭素鎖長を変えることによって以下の知見を得た。 1.APTES添加量の影響。界面活性剤として炭素鎖長16の臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いAPTESをTEOSに対して5から15mo1%加えて有機無機複合体を合成した。XRD測定の結果から全ての試料が六方晶系に帰属され、それらの(100)面間隔はAPTES添加量の増加に伴い増加することが分かった。IR測定及び元素分析の結果からAPTES添加量の増加に伴いメソポーラスシリカ内のアミノ基量が増加することが分かった。細孔分布測定の結果から、添加したAPTES量の増加に伴い、細孔径は2.7nmから2.1nmへと減少することが分かった。 2.界面活性剤の鎖長の影響。C10〜C16の界面活性剤を鋳型として用い、アミノプロピル基含有メソポーラスシリカを合成した。XRD測定の結果から、C10の場合はかなり結晶性は低かったが、それ以外の試料についてはいずれも六方晶系に帰属され、それらの(100)面間隔は約30Aから約42Aまで炭素数の増加に伴い大きくなることが分かった。細孔分布測定の結果、界面活性剤の炭素数の増加に伴い、細孔径が増加することが分かった。 以上の結果、添加APTES量及び界面活性剤の炭素数を変化させることで、メソポーラスシリカの細孔径を制御できることが分かった。
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