本研究では、CO_2に対して負の、CH_4とN_2に対して正のΔH_sを示すポリイミドをベースに共重合体を調製し、それらの膜のCO_2/CH_4およびCO_2/N_2混合ガス透過において、ブロッキング効果とそれを生じさせる要因となるナノ構造、特に未緩和体積の大きさとの関係を明らかにすることを目的としている。これらの結果をもとに、高いCO_2選択性を示す膜選定のための指針を与えることが、この研究の主目的である。今年度は膜素材となるポリイミド合成(合計9種類)およびその構造解析・キャラクタリゼーション(密度、固有粘度、ガラス転移温度)を行った。また、設備備品として高圧ガス収着測定装置を試作し、装置の検定を開始した。 ヘキサフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物(6FDA)を酸成分に、テトラメチル-p-フェニレンジアミン、トリメチル-m-フェニレンジアミンあるいはp-フェニレンジアミンをジアミン成分に用い、それぞれのホモポリマーを得た。また、ジアミン成分を二成分とした共重合体も合成した。共重合体組成比は核磁気共鳴(NMR)測定により求めた。合成した各ポリイミドは赤外吸収スペクトル、NMR測定結果からイミド化率95%以上であることが確認され、密度とガラス転移温度は報告されている既知の値とほぼ同程度であったことから、目的のポリイミドが得られたものと判断した。固有粘度の値もポリイミドの自立膜を得るのに十分高いことが確認できたので、合成したポリイミドを用いてホモポリマー膜、ブレンド膜、共重合体膜の製膜を行い、それぞれの自立膜を得た。
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