研究課題
本研究では、膜・微生物ハイブリッド型水再生プロセスの開発を行うことを目的とする。廃水中の難分解性有機物を分解することが可能な白色腐朽菌の二次代謝系の解明を行い、分解酵素や機能発現のために最適な条件を把握する。また、膜分離と活性汚泥を利用したシステムにより白色腐朽菌の機能を最大限に活かすことができる環境の創製法を確立し、白色腐朽菌処理とのハイブリッド化を行う。本年度は、白色腐朽菌によるメラノイジンの分解・脱色および分解酵素について検討を行った。メラノイジンを分解可能な微生物のスクリーニングを行い、白色腐朽菌Phanerochaete sordida YK-624株を選定した。この菌株を用いて、炭素や窒素量を種々の条件に設定したメラノイジンを含有する着色廃水の脱色処理を行ったところ、高炭素条件下で脱色率が大きくなり、5日間の処理で約90%という極めて大きな脱色率が得られた。一方、高窒素条件下では、白色腐朽菌の脱色能が著しく低下した。また、廃水中に他の微生物が存在する場合にも、白色腐朽菌の脱色能が低下した。したがって、脱色処理を効率的に行うためには、廃水中の窒素をあらかじめ除去し、微生物フリーの環境を創製する前処理が必要となることが明らかとなった。次に、白色腐朽菌が産生する廃水の脱色に関与する分解酵素について検討を行った。脱色率が一日毎の累積値を意味することから、酵素の活性も累積して脱色率との関係を検討したところ、マンガンペルオキシダーゼ(MnP)の累積活性と脱色率との間に良好な相関が認められ、自色腐朽菌が産生するMnPがメラノイジン含有廃水の脱色に関与するKey Enzymeであることが示唆された。以上の検討から得られた知見を基に、活性汚泥による窒素の除去、分離膜による微生物の除去および分解酵素の循環利用が可能となるデュアルメンブレン・バイオリアクターを考案した。
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用水と廃水 48・2
ページ: 45-50
Proceedings of the 7th International Conference on Separation Science and Technology between Korea and Japan (CD-ROM)
Proceedings of Filtration and Separation Symposium 2005
ページ: 148-152