研究概要 |
噴霧熱分解法では分子レベルで十分に混合された原料溶液を気中に噴霧することでμmオーダーの液滴を発生させ、それを熱分解するため、化学的に均一な粒子を製造することが可能です。本研究で検討する噴霧熱分解法は従来の電気炉を用いた方法ではなく、反応熱源に火炎を直接用いる。合成が困難とされる白色LED用の蛍光材料である(Y, Gd)_3Al_5O_<12>:Ce^<3+>等のような多成分系材料微粒子をモデル材料とし、火炎式噴霧熱分解法による微粒子合成プロセスの開発を行った。火炎法では、電気炉と比べ操作温度が高いと考えられ、その結果、(i)従来法より高い結晶性(高い性能)もつ微粒子の合成が可能になること、(ii)火炎用ガスを利用するので生産コストが優れていること、また(iii)スケールアップが容易であることが明らかになった。原料溶液に、無機塩であるフラックス塩などを添加して、微粒子粒子を合成した。生成粒子より成型体を作成し、結晶性や光学特性を評価した。この結果から、特性が最適となる微粒子の特性および操作条件を明らかにした。火炎式噴霧熱分解法による多成分系微粒子の合成メカニズムを実験的に検討し、粒子径の制御の他に、大きさの揃った微粒子が合成できる条件を明きらかにした。また、噴霧発生量を増加させて、微粒子合成技術のスケールアップ化の検討も行った。出発の液滴径が数ミクロンであるにも関わらず、生成粒子が数十nmとなる操作条件の存在も見出した。従来法では、数ミクロンの液滴からは数100nmの粒子が生成することを考えれば、今回開発された手法が大変興味深い。
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