研究課題
本研究では、超臨界二酸化炭素中での分子集合体形成技術を利用したDDS材料製造技術を開発するための基礎的な知見として、超臨界二酸化炭素中で形成されるシリカ粒子(モデル物質)等の担体表面への生体高分子、細胞認識タンパク質、糖分子や薬剤の固定化実験を試みた。その結果、超臨界流体中でのシリカ粒子等の分散処理、さらに圧力変化に利用した相分離法を利用することで、シリカ等の表面に生体分子を固定化することに成功した。複合粒子の微細構造を分析走査型電子顕微鏡(SEMおよびEPMA)にて観察したところ、シリカ表面には1μm以下の極めて薄い膜が粒子表面に形成されていることがわかった。さらに、調製したシリカ-高分子表面への薬剤や生体認識分子の固定化実験にもついて検討している。さらに、超臨界二酸化炭素中での複合分子を製造するための知見として、可変体積型観察窓付セルを用いて、生体分子の超臨界二酸化炭素に対する溶解度測定を試みた。その結果、エタノールが毒性も少なく、溶解性を向上させる共溶媒として最適であることが分かった。得られた溶解度は、格子理論をベースとした状態方程式により相関可能であることが示された。また、超臨界二酸化炭素中で形成されるナノ空間で生成される高分子ナノ粒子表面への生体認識分子の結合や薬剤の複合化のメカニズムについて検討するために、内部循環能力および高圧状態への試料導入可能な高圧分光システムを試作し、高圧下においてUV、FT-IR、蛍光測定の可能なシステムを開発することに成功した。
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