本年度は、ゼオライト化機構を明らかにする検討を進めた。本研究では二元細孔シリカ成形体を前駆体として水蒸気処理によりシリカ骨格のゼオライト化の検討を行っている。このゼオライト化の過程で進行する現象について検討するために、まず水蒸気処理によって生じる現象について詳細に検討した。密閉用期中で100℃以上に水を加熱すると、1気圧以上の水蒸気と水の間で平衡が成立した状態となる。この時の水蒸気の圧力は飽和蒸気圧によって定義できるが、この際、シリカゲルの細孔内には毛細管凝縮により水蒸気が凝縮して細孔内液相を形成する。こうして形成された液相を介してシリカゲルの溶解・再析出やネットワークの再編が起こり、この過程で構造規定材が存在することで、ゼオライト結晶の核が生成し、成長・結晶化が進行するという機構を提示した。こうした機構を考えることで、マクロ孔サイズの影響、マクロ孔を持たない試料に於ける成形体と粉末め結晶化の進行にっいて合理的な解釈が可能となった。 また、ガラス表面でのゼオライト薄層の形成についても引き続き検討を進めた。ガラス単独に構造規定材を加えて水熱処理を行うことでも、ガラス表面にゼオライト薄膜の形成が可能であったが、予めシリカゲル膜を形成させたり、溶液中にシリカを溶解させておくことで、結晶化速度の向上が確認できた。こうしたゼオライト膜をガラスキャピラリー中で形成することにより、キャピラリーの一次元空間をマクロ孔として利用する応用が期待できる。
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