研究概要 |
クエン酸ゾル-ゲル法により調製した種々のPerovskite型酸化物(ABO_3)を担体とする担持Ni触媒を調製し,メタン部分酸化反応に対する活性を比較換討した.合わせて担体の格子酸素の移動性を見積もりメタン部分酸化活性との関連を考察した.各種Perovskite型酸化物は,クエン酸ゾル-ゲル法により調製し最終的に空気中1123Kで焼成することにより目的の化合物を得た.これを担体とし,モル比でNi:Perovskite型酸化物=0.2:1.0となるように含浸法にて担持Ni触媒(Ni/Perovskite)を調製した.各種Ni担持触媒によるメタン部分酸化反応では,いずれの触媒についてもメタン転化率が高いほど合成ガス選択性が高かった.SrTiO_3,BaTiO_3,CaTiO_3は80%以上の高いメタン転化率を示し,反応時間6時間まで全く活性低下は認められなかった.また,還元温度を1073Kから1173Kとすることでメタン転化率は若干向上した.La系ペロブスカイト型酸化物の中ではLaAlO_3が高いメタン転化率を安定に示した.La_<0.8>Sr_<0.2>Ga_<0.8>Mg_<0.125>Co_<0.075>O_3,La_<0.8>Sr_<0.2>Ga_<0.8>Co_<0.2>O_3,およびLa_<0.9>Sr_<0.1>Ga_<0.8>Mg_<0.2>O_3では,メタン転化率は反応時間の経過に伴い緩やかに向上し反応開始6時間後には80%以上の高い値を示した.同様にLa_<0.5>Sr_<0.5>MnO_3,La_<0.8>Sr_<0.2>CoO_3,La_<0.6>Ca_<0.4>Co_<0.8>Fe_<0.2>O_3も反応時間の経過に伴いCH_4転化率が緩やかに向上した.高い酸素吸蔵能を持つことで知られるCeO_2-ZrO_2は反応時間の経過と共にCH_4転化率が緩やかに低下した.このような担体の種類によるメタン部分酸化反応の経時変化の違いは,Perovskite型酸化物担体の格子酸素のモビリティの違いによるものと考えられ,この格子酸素の動的挙動が活性種であるNi種の状態に影響を与えているものと推測される.今後,表面格子酸素のモビリティについて,TPR,パルス反応等により検討をすすめ,触媒設計の指針を得る.
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