研究概要 |
Ni/SrTiO_3, Ni/BaTiO_3, Ni/CaTiO_3,及びNi/LaAlO_3は,反応温度1073Kにおいて,80%以上の高い活性を安定に示した.パルス反応によって構造中のモバイルな格子酸素量を見積もったところSrTiO_3, CaTiO_3がmobile oxygen量が多く,またLaAlO_3はmobile oxygen量が少ないということが分かった.これらのmobile oxygenは,再生と反応を可逆的に繰り返すことから,反応にモバイルな格子酸素が寄与していることがわかった.次に,同程度の高い活性を示した触媒について触媒層温度分布を比較したところ,担体の種類によってその発熱挙動に違いが見られた.特に,Ni/SrTiO_3とNi/LaAlO_3で比較すると,Ni/SrTiO_3では触媒層内にホットスポットの生成が確認されたのに対し,Ni/LaAlO_3では触媒層に大きな発熱が生じなかった.メタン燃焼及び二酸化炭素改質反応に対する活性について検討した結果,Ni/LaAlO_3は高い燃焼活性を示した.またLaAlO_3担体のみでも高い燃焼活性を示した.また,二酸化炭素改質反応についても,Ni/LaAlO_3はNi/SrTiO_3やNi/α-Al_2O_3と比較して改質反応活性が高いことが分かった.Ni/LaAlO_3が高い燃焼反応活性を示すにも関わらず,触媒層内の発熱が小さくなるのは,メタン燃焼反応の速度に対してメタン改質反応の速度が充分速いために,ホットスポットの生成が抑制されるためであることが示唆された.また,Ni/LaAlO_3のNi種は,メタン部分酸化反応後,及びメタン燃焼反応後においても,多くのNi種が金属状態のまま存在していることが明らかとなった.LaAlO_3を担体に用いた場合,メタン部分酸化反応においても担体上のNi種は金属状態のまま安定に維持されているために高いメタン部分酸化反応活性を示し触媒層内のホットスポット生成が抑制されたためと考えられる.
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