タンパク質がその特異的な機能を発揮するには、高次構造の正確なフォールディングが不可欠であるといえる。一方、遺伝的および外来ストレスにより正確なフォールディングが達せられず本来の機能を有さない変性タンパク質の問題がある。変性タンパク質は、機能を有さないばかりではなく、正確にフォールディングしたタンパク質に影響を与えることも知られている。そこで系中の変性タンパク質の随時モニタリングする事が重要となると考えられる。また、異常プリオンに代表されるアミロイドの検出など医学的見地からも、変性タンパク質の検出は重要な課題である。 本研究ではリポソームの疎水性物質吸着能を利用する変性タンパク質検出に特化したセンサーの開発を目的とし、将来的にはプロテオーム解析などへ応用可能な基板技術を確立する。本年は、アミロイド凝集体の物性、特にその構造形成と細胞への毒性評価について研究を行った。 また、正常なタンパク質を特異的に認識することができる核酸を用いた新しいバイオセンサーの構築についても検討を行った。ポリアクリルアミドゲルにDNA核酸からなるアプタマーをコンジュゲートし、分子認識能を有するゲルの構築を目指した。アプタマーは特定の分子を認識する能力を有しており、その特徴を利用してターゲットの認識と共にハイドロゲルの体積を変化させる仕組みを備えている。この体積変化によりターゲット濃度を割り出すことも可能である。
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