研究概要 |
次世代超音速旅客機の開発においては,従来の航空機と比較して,いっそうの環境適合性が求められている.このようなジェットエンジン排気は超音速噴流となるため,「スクリーチ」と呼ばれるスパイク状の非常に強い騒音を発生し,大きな問題になっている.このため,超音速ジェットエンジンからの騒音低減法の開発が必須の課題となる.本研究では,超音速噴流の騒音発生機構の解明,およびその低減法の開発の目論む.円形先細ノズルから,マッハ数1.14の超音速空気噴流を噴出する.ピエゾ式圧力変換器を用い,この超音速噴流からの騒音を計測し,デジタルオシロスコープで記録する.この噴流からは,周波数約28kHz,音圧レベル(SPL)約130dBのスクリーチが放出されることが,これまでの研究から明らかになっている.本研究では,「空力タブ」と呼ばれる小さな噴流を,超音速噴流に対して噴射する騒音低減法を提案してきた.「空力タブ」を用いることで,超音速噴流の渦構造が変化することが,流れの可視化で明らかになった.この渦構造の変化により,ピークノイズであるスクリーチは消滅し,約30dBの騒音低減効果が得られることが明らかとなった.「空力タブ」の条件を変化させ,その最適条件の選定を行った.また本研究では,「光」を用いた非接触騒音測定法を提案してきた.これまでに試作光学系の設計・製作が終了し,超音速噴流からの騒音を「光」で検知できることを確認した.今後,その計測精度の検証を行っていく予定である.
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