| 研究概要 |
本年度は主に実験装置本体の製作及び試運転を行った.本実験装置は,セル内部の圧力測定及びシュリーレン法による衝撃波の可視化を容易にするために,本来回転するセルを固定し,給排気ポートが回転する構造となっている.本年度に製作したセルは,断面が3mm角の正方形,長さが42mm及び168mmとなっており,光学的に充分な透明度と強度を得るために材質は石英ガラスとした.本実験では,このセルの中を音速以上の速度で伝播する衝撃波を可視化しなければならないため,特に可視化画像の撮影タイミングの精度については特に注意を払い,±2μsの精度を確保した.
以上のようにして製作した実験装置を用いて実験を行い,セル長さ42mm及び168mmいずれの場合にも,衝撃波が伝播する様子を可視化することに成功した。特に長さ168mmのセルは,今までに製作されてきたウェーブロータに比べて壁粘性の影響が非常に大きくなるような設計となっているが,衝撃波そのものが境界層によって大きく散逸する様子は見られず,通常サイズのウェーブロータ内部流動と同様の衝撃波伝播の様子が確認された.また,セル端面における全圧測定結果にも,セル長さの違いによる大きな影響は見られなかった.その一方で,それぞれの長さのセルに対してロータ回転数(本実験装置ではポートの回転数)をパラメタとした実験を行ったところ,同じ上流タンク圧力にもかかわらず,セル内部に生じる衝撃波の強度(密度勾配)に大きく違いが現れることが確認された.
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