研究概要 |
本研究は感圧センサ(Pressure Sensitive Paint, PSP)を用いた圧力の面分布計測で大きな問題となる、PSPの温度依存性を解消する研究である。PSPの構成要素となる蛍光色素は、色素により発光波長と温度依存性が異なり、その性質を利用する。2種類の色素をPSPの構成要素にすると、それぞれの発光スペクトルが重なる領域を形成できる。温度依存性が対になる色素を選択することで、この重なった領域では発光量変化が温度によらず一定となることから、PSPの温度依存性を解消する。 今年度は蛍光色素を変え、PSPの温度依存性をデータベースとして構築した。データベースとして、単一の色素を用いたPSPの温度依存性、圧力感度を調べた。分光計に併設した既存の較正チャンバを用い、PSPからの発光量と、温度、圧力の関係を計測した。蛍光色素はPSPで用いられている代表的なルテニウム錯体、ポルフィリン系の色素を中心に計測した。18年度前半まで単一色素でのデータベース構築を行う。これと併行して、得られたデータベースから複合する2色素を選択し、2色素PSPの温度、圧力特性を計測する。これにより、前述した温度依存性を解消する計測波長領域を決定する。 現段階ではチャンバ内の圧力と温度は手動で制御するため、計測時間に全研究時間の大部分が費やされているのが問題である。今年度は温度、圧力制御が自動で行われるシステムの構築を併行して行っている。18年度はシステム構築に加え、チャンバを2重にする予定。これはチャンバ内のガスもれや温度変化により計測窓に霜がはる現象を排除し、計測精度を向上する。これら全システムは18年度上期に完成する予定。システム構築により、データ構築が飛躍的に簡単になり、多くの試験時間を分析時間に費やすことができる。18年度はこの新システムと2色素PSPにより温度依存性解消を実証する。
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