研究概要 |
平成17年度は有人飛行システムの構築と無人化を想定したパラフォイル制御用リール機構の開発を行った. パラフォイルに動力がない場合,上空までロケットやヘリコプターで運搬することが必要となり,コストが大きくなる.そこで,本研究では,スカイスポーツ用のモータパラグライダーを用いて,飛行システムを構築した.本システムはキャノピ・スカイトライプ・GPS・CCDカメラ・加速度センサ・磁気センサ・ジャイロ・PCから構成される.パイロット自らがパラフォイルを操縦して,各種実験データを取得した.この結果,離陸・巡航・着陸からなる一連の飛行において,離陸が最も困難であることが判明した.特に,陸上で加速するときにキャノピを左右対称に維持しないと,直進することができず,離陸前に滑走路からそれてしまうトラブルが相次いだ.パイロットは失敗を繰り返すうちに,ワイヤの長さを調節することで,キャノピを左右対称にするのではなく,ワイヤの張力を制御することで,バランスを保つことを学習した. パイロットの経験を無人飛行システムにフィードバックするために,長さ制御だけでなく、張力制御も行うことができるリール機構を開発した.本リール機構は,すばやい動きにも対応できるように,ラインのたるみを防止する工夫も施した.このリール機構をベースに,離陸フェーズでは張力制御,そして,巡航・着陸フェーズでは長さ制御に切り替えることで,機体を目標位置にピンポイントな誘導する制御法を考案した. 平成18年度には,実際に無人飛行を行うことで,本制御則のフィージビリティを検証する.これを発展させ,巡航時に複数の地点を通過するための最適飛行経路法や,機体に加わる衝撃を最小にするような滑らかな着陸制御法も組み込んだ,自律飛行システムを実現させる予定である.
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