研究課題
水面上を走る滑走艇や、離着水時の飛行艇の胴体部に働く流体力では、静圧よりも動圧が支配的となり、船体姿勢や運動パラメーターも速度に依存して変化する。このため、高速船の評価や性能予測は、煩雑なものとなる。また船体周辺の自由表面に大規模な変形が生じ、発生する飛沫は運動量を運び去ると同時に、船体、プロペラブレード、エンジン吸入部に被害を与える可能性がある。流体数値シミュレーションにおいては、自由表面変形が比較的穏やかな滑走状態を評価した例がある。しかし、高速滑走における飛沫の広がりは、船体の長さスケールよりも大きくなるため、従来の方法では非効率が生じる。そこで本研究では、特に高速の滑走状態を評価する目的で、粒子法に基づいた数値シミュレーション技術を開発した。基にした粒子法は、越塚らによって提唱されているMPS法であるが、3次元の滑走問題を実用的な計算時間で実現するため、幾つかの新たなモデルを導入した。滑らかな物体表面を粒子で模擬するため、鏡像粒子を導入し、従来の格子法と同様のslip/no-slip条件を実現した。また、これまでの非圧縮粒子法では、境界層内などにおいて空間解像度を高める事が困難であったが、計算粒子の合体・分裂の概念を導入し、空間解像度の制御を提案した。従来の粒子法は、非圧縮流体を扱う場合に、粒子密度が一様であるため、粒子間隔から決まる空間解像度も一様等方とならざるを得なかった。これは格子に基づく数値計算手法で言えば、黎明期の直交等間隔格子に対応する。本研究は、境界適合格子または解適合格子に相当する技術を粒子法に取り入れる試みである。2次元および3次元において、物体の水面突入および滑走状態のシミュレーションを行い、総粒子数の増加を抑えながら、物体周辺の高解像度計算を実現した。
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すべて 雑誌論文 (3件)
弥生研究会 粒子法研究会(第11回)報告書 UTNL-R-0460, 2007/03/05
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日本流体力学会年会2006講演要旨集,AM06-05-004.pdf,九州大学筑紫キャンパス, 2006/9/15-17 (PDFファイル)