本研究はオホーツク海の調査に用いるための水中移動体を実現するため、水中で流体力のみを利用して移動やホバリングをしていると考えられるマンタ(オニイトマキエイ)をモデルとした生物型水中移動体を開発することを目的としている。 平成19年度は重心移動を利用して体軸のピッチ角を変化させ、流体力を利用して体軸方向に潜水または浮上する水中ロボットについて主として実験的に検討した。この方法は流体力のみを利用した潜水・浮上に該当しないが、昨年度までの浮力調整機構を用いる方式では体軸角度の変化が不十分だったので、この方式も検討が必要だと判断し研究対象とした。 既存の羽ばたき型水中ロボットを改造して行った検証実験により、全長数10cmの水中ロボットの場合は重心と浮心との距離が50mm程度あれば、重心移動によりピッチ角±45°の範囲で安定して潜水・浮上できることが分かり、本研究の対象とする水中ロボットでも利用できる見通しを得た。 上記の結果を踏まえ、重心移動を利用して潜水・浮上する羽ばたき型水中ロボットを設計した。 このロボットは全長約50cmで、重心移動装置を本体中央部に設置し、これを利用して体軸のピッチ角を変化させる。ピッチ角は±45°の調整を可能とする設計とした。羽ばたき翼は重心付近の左右に設置する設計とした。全体設計及び詳細設計を終え、部品の製作に取り掛かるにいたったが、平成19年度中に完成させることはできなかった。
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