平成17年度では、以下の内容について検討を行った。 1.ベアリング内発熱量、ビット表面と内部温度の差と掘削条件との関係 掘削時ビット環境模擬装置を用いて、比較的低負荷におけるローラーベアリング型のトリコーンビット内部の発熱量および温度の測定試験を行った。既に実施していたジャーナルベアリング型のトリコーンビット内部の発熱量・温度の測定結果と併せて、掘削条件とベアリング内の発熱量・表面との温度差との関係を検討した。その結果、比較的低負荷の掘削条件におけるベアリング内部温度を、基準条件との発熱量比および温度差比から推定する方法を提案することができた。 2.Oリングシールの性能劣化と温度との関係 通常のNBR製よりも耐熱性がよいHNBR製のOリングシールを用いた熱劣化試験(グリース浸透)を行い、被熱後のOリングの引張試験を行った。その結果、HNBR製Oリングシールが使用不可能になる(弾性が著しく失われる)温度と時間の関係を明らかにした。また、実坑井にて使用されたビットから取り出したHNBR製Oリングシールについても引張試験を行った。 3.実坑井の坑内温度解析 近年掘削された実坑井(高温度井)のうち、掘削データ入手可能な坑井をピックアップした。それらの坑井の掘削日報、掘削報告、検層結果などのデータを用いて、坑井掘削中の坑内温度を数値シミュレーションによって解析した。温度解析の結果、各ビットが晒された温度と時間を明らかにした。
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