研究課題
相対論的Fokker-Planckコードと流体コードを結合した核燃焼コードFIBMETを用い、高速点火用コーン付シェルターゲットの爆縮コア加熱解析を行った。本年度は、(1)加熱レーザー照射面のプレプラズマが高速電子発生、ならびにコア加熱に及ぼす影響、(2)高速点火原理実証実験FIREX-Iを対象とした加熱特性評価、(3)Fokker-Planck+流体ベースのHybridコードを用いた加熱解析を行い、下記の知見を得た。(1)スケール長依存性:加熱レーザー照射面のプレプラズマのスケール長が短い場合(<<1μm)、レーザーから高速電子への結合効率が低く、コア加熱効率が低くなる。一方、長すぎる場合(>>1μm)は、結合効率は高いものの発生する電子のエネルギーが高すぎ、この場合も加熱効率は低い。10^<20>W/cm^2,1ps程度の加熱レーザーの場合、1mm程度のスケール長の場合がもっとも加熱効率が高いことが明らかとなった。また、より実際的な2重スケール長(レーザー臨界密度n_c以下では長スケール長、n_c以上では短スケール長)を仮定した場合、より加熱効率は高く、レーザーからコアへのエネルギー結合効率15%が得られた。(2)FIREX-Iでは10kJ/10psの加熱レーザーが用いられる。このような高エネルギー・長パルスでのコア加熱は、これまで行われてなく、シミュレーションにより加熱特性を評価した。コア加熱では、バルク電子が最初に加熱され、イオンは加熱された電子との温度緩和を通じて加熱される。このため、イオンを十分に加熱するためには、高圧縮が要求される。また、コアが飛散する前に加熱を行う必要があることが示された。DT燃料の場合、イオン温度を5keVまで加熱するには固体密度の1000倍以上の圧縮と、コアへのエネルギー付与2kJ以上、加熱時間10ps以下の加熱が要求されることを示した。(3)1次元Fokker-Planck+流体のHybridコードを開発し、爆縮コア周辺音Bでの静電場の影響を考慮した解析を行った。この結果、コア中を伝播して低密度周辺プラズマへと入射した高速電子の一部は、高速電子流によって形成される静電場によって反射され、再びコアへと入射する。この効果を考慮すると、コア加熱率が〜1.5倍向上し、よりコア温度が高くなることが示された。
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すべて 雑誌論文 (6件)
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