定常高βプラズマを維持する上で問題となるMHD不安定性の安定限界を計測する目的で、外部磁場摂動をプラズマに印加しその応答から能動的に安定限界を診断する手法の開発を開始した。今年度は主に本研究に必要な機器の調達、システムの設計、そしてシステムの構築を行なった。当初JT-60Uトカマクに既設のサドルループにより摂動磁場生成を予定していたが、その後の調査でケーブルの特性により励起電流が制限されることから、イオンサイクロトロン加熱用アンテナを用いて、摂動磁場を生成することとし、その形状における生成磁場、空間スペクトル等の計算を行なった。生成磁場強度はプラズマ中心位置で10^<-7>T程度、フーリエモード数はアンテナがトロイダル方向に局在していることから、トロイダルモード数が10程度を中心に広がったスペクトルであることが分かった。また、JT-60Uでは、実験中入室制限されるため、システムの遠隔制御が必要であり、Ethernetを使用したシステム制御系を構築した。また、放電シーケンスと同期して、設定したタイミングで励起電流を流して摂動磁場を生成できるよう制御プログラムを開発した。試験的に外部磁場生成を行いシステムが正常に作動することを確認した。また、励起システムの周波数特性等を求め、周波数掃引や位相制御のテストを行い、問題なく動作することを確認した。これら今年度の成果について、第22回プラズマ・核融合学会年会にて「JT-60Uにおける能動的MHDモード安定診断装置の検討」という題目で発表した。
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