外部磁場摂動をプラズマに印加しその応答からMHD不安定性の安定限界を能動的に計測する手法の開発を引き続き実施している。今年度の主な研究実績は、 ●本システムの試験運用 ●関連する技術の開発(高速大容量データ収集システム) ●診断対象MHD不安定性(抵抗性壁モード、アルヴェン固有モード)の研究 ●波動伝播解析コードの導入 である。まず、昨年度までにほぼ整備完了した本システムの試験運用を実施した。JT-60トカマク放電時に磁場摂動を印加し磁気ループにてその応答を検出したが、その強度が十分ではないことが明らかになった。そこで印加磁場摂動の強度を上げるために励起電流の増強法、効率的な摂動アンテナの検討を行い、次年度の実施に向けてその準備を行った。関連技術として印加摂動の応答を高速かつ高精度で収集する高速大容量データ収集システムを開発し、その技術について雑誌「Fusion Engineering and Design」に投稿、掲載された。また、診断対象となる抵抗性壁モードについて、その成長率への壁距離の影響に関して第33回ヨーロッパ物理学会・プラズマ物理(2006年6月ローマ市)にて口頭発表を行い、その内容は雑誌「Plasma Phys.Control.Fusion」に投稿、掲載された。また国内学会では第23回プラズマ・核融合学会年会(2005年11月つくば市)、日本物理学会2007年春季大会(2007年3月鹿児島市)にて発表を行った。また、印加磁場摂動の伝播や診断対象であるアルヴェン固有モードの安定性解析のために、波動伝播解析コードTASK/WMを導入しその運用を開始した。このコードによりJT-60で予想されるアルヴェン固有モードの安定解析および、本システムで診断した不安定性を同定することが可能となる。
|