平成17年度は、電子慣性及び電子圧力効果等の2流体効果を含むMHDモデル、及びそれに基づく非線形MHDコードを研究・開発し、衝突効果及び非衝突効果の双方を含む状況下で、プラズマ性能の劣化を引き起こす巨視的MHDモードの非線形現象を調べた。平成17年度は、反転磁気シア配位で重要なダブルティアリングモード(DTM)に対して、非線形不安定化過程における電流点形成と磁気再結合に対する2流体性の影響を調べた。その結果、電子慣性や電子粘性が磁気再結合過程を支配する非衝突プラズマにおいても、電気抵抗が支配的な衝突プラズマで見出された電流点(電流フィラメント)の形成とそれに伴うDTMの非線形不安定化過程が起こることを明らかにした。 トロイダル2流体MHDコードを高並列化するため、ブロック行列の直接解法に対する並列化数値スキームの開発とその実装を行った。平成17年度は、開発した高速2流体MHDコードを用いて、現実的なパラメータ領域(磁気レイノルズ数S〜10^7)での非線形MHDシミュレーションを行った。物理的な研究対象としては、H18年度に予定していた、新古典ティアリングモード(NTM)を引き起こす種磁気島の突発的発生及びその非線形成長の研究を行った。その結果、磁気レイノルズ数がS〜10^7程度の現実的なパラメータ領域では、これまで研究されてきた低S領域(S〜10^5)と異なる新たな成長領域が存在することを明らかにした。これらの研究成果を、第19回プラズマ数値シミュレーション国際会議及び第7回アジア太平洋プラズマ理論会議、アメリカ物理学会第47回プラズマ分科会、日本物理学会第61回年次大会で発表した。
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