H18年度は流れのあるプラズマ中で外部揺動により生成さる磁気島の特性に関する研究が進展した。本研究テーマに関しては、これまでにも多くの研究が世界中で行われてきている。これらの研究は閉じ込め性能の悪いプラズマを想定し、プラズマ粘性が高い状態を仮定して行われてきた。しかしながら本研究では、大型トカマクプラズマの高閉じ込め性能プラズマに対応するパラメータ領域を研究領域として設定した。さらに、これまでの研究では誤差磁場を外部揺動の原因と考え、定常状態を理論解析の基本的な仮定としていたが、本研究では電磁流体不安定性等も外部揺動の原因として考慮したパラメータ領域を設定した。このようなより現実的なパラメータ領域での数値シミュレーションを行うことにより、磁気島が急激な成長を始める外部揺動の臨界値のプラズマ抵抗値、粘性値への依存性が、これらの値のみでなく外部揺動とのバランスで決まることを明らかにした。また、これまでの研究では注目されなかった外部揺動による磁気島の長時間を調べることにより、磁気島の構造変形とそれに伴う2次的磁気島形成の機構が存在することを明らかにした。新しく見出した磁気島の特殊な構造変形は、これまで剛体と仮定されていた磁気島が内部構造を持ち、磁気島内でのトルクが不均一な分布出ることに起因することを明らかにした。さらに、本研究で見出された磁気島成長における2次的磁気島の生成機構は、高温トーラスプラズマで重要となる新古典効果を考慮した磁気島成長に強く影響する可能性を示した。これらの研究成果を、第12回IAEA国際会議や第48回アメリカ物理学会プラズマ分科会で発表した。
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