現在安定に稼動しているRFガン・ライナックからのピコ秒電子ビームを、フェムト秒レーザーを集光することによって得られる相対論的ポンデラモーティブ力によって加速、数フェムト秒に切り出す方法に着目した。チタン・サファイヤレーザーからのビームをビームスプリッターで電子生成用と加速用に分割し、電子生成用は3倍高調波に変換し、RFガンに入射させて電子ビームを生成する。フォトカソード電子銃と電子線型加速器はレーザーと同期したRFによって駆動され、10MeVの電子ビームが得られる。シケイン型磁場圧縮器を用いて電子ビームのバンチ幅を衝突点で1ps以下・φ150μmにする。加速用レーザーは半径4μmまで収束させる必要がある。加速された電子を磁場型スペクトロメータによって分析し、マイクロチャンネルプレートにて検出を行う。 この方式の最大の問題点は、時間的同期の困難さと加速される電子量である。時間的同期はSバンド同期装置にレーザーと電子ビームから得たシグナルを入れることにより、最小600fs(RMS)の同期をとることに成功した。ところが加速用されてくる電子の量が少なく検出できなかった。理由として、レーザーのプロファイルの劣化による収束径の拡大、電子ビームのフォーカス不足、時間的完全同期の不一致などが考えられる。特にレーザーと電子ビームのフォーカス点を完全にあわせることが非常に困難であった。この2年の研究では結果まで間に合わなかったが、実験体系、計測器系、ともに完成しているので引き続き実験を続けていく予定である。
|