本研究は、小型2段ガス化改質炉の最適設計のため、改質炉内のガス流動状態がタール及びスス排出量に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。本研究は2ヵ年計画で、本年度は数値計算により、2次空気の吹き込み速度(運動量)、吹き込み向きの違いが炉内の温度分布に及ぼす影響を明らかにした。吹き込み速度は2パターン、吹き込み向きは、改質炉の断面に対して接線方向から吹き込む場合、半径方向から吹き込む場合及び改質炉と同軸方向に吹き込む場合の3パターンを計算した。乱流モデルは、レイノルズ・ストレスモデルを用いた。燃焼反応モデルは、有限化学反応速度/渦消散(ED)モデルを用いた。壁関数は標準壁関数を用いた。各モデル定数は、標準のものを用いた。今年度はタール模擬物質としてエチレンを用いて計算を行った。 計算の結果、接線方向及び半径方向からの吹き込みで、かつ吹き込み速度が速い場合、炉の上部で均一な高温度場が形成されることがわかった。それ以外の場合は、その高温度場の生成場所が後流域にずれていくことがわかった。温度場が形成される位置に違いが見られたのは、高速吹き込みの場合、2次空気のよどみ点付近で急激な反応進行による発熱がみられ、それが着火源となり、かつ旋回流れ・衝突噴流によりその温度が急速に拡散されたためと考えられる。 本年はその結果に基づいて、実験に用いる小型改質炉の設計を行った。来年度は、本装置を用いてタール及びスス排出量を測定することで、炉内温度分布の違いとタール及びスス排出量の関係を実験的に明らかにする。
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