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2006 年度 実績報告書

雌性先熟魚類の複婚社会に共存する一次雄の出現機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17770017
研究機関広島大学

研究代表者

坂井 陽一  広島大学, 大学院生物圏科学研究科, 助教授 (70309946)

キーワード性転換 / diandry / 繁殖戦略 / 社会調節 / ベラ科魚類
研究概要

本年度は、一次雄の出現が社会調節されていることの裏付けを得る目的で以下の4つの実験・調査により進めた。
1)一次雄の性転換実験 一次雄の潜在的な性転換能力を確認する目的で、キュウセンとホンベラの一次雄に雌性ホルモンを投与し、生殖腺の性変化を確認する飼育実験を実施した。いずれの種においても、精巣から卵巣への変化が高い確率で生じることを確認し、一次雄が性ホルモンに対して柔軟に反応しうることを突き止めた。また、一次雄のなわばり雄化の条件をまとめた論文を発表した。
2)野外における一次雄の性転換の頻度調査 昨年度より標識放流を実施しているキュウセンとホンベラの野外個体群において、個体の再捕獲を7-8月に実施し、それぞれ6個体と41個体の標識個体の再捕獲に成功した。これらの生殖腺の観察より、一次雄による性転換が野外では頻繁に生じないことを示す具体的なデータを得た。
3)幼魚からの飼育による一次雄の出現パターンの分析 野外で採集したキュウセン未成熟個体を、成魚および未成魚とペアで同居させる飼育実験を実施し、未成魚が成熟させた生殖腺と飼育環境(個体間関係)との関連性について解析した。その結果、同居相手から頻繁に攻撃を受けていた未成魚個体は有意に高い割合で一次雄に分化するという傾向が認められた。この結果は一次雄の遺伝的性分化を否定する手がかりになりうるものと考えている。
4)幼魚の社会行動の野外調査 9月に鹿児島県口永良部島西浦湾のリーフにおいて、キュウセン属セイテンベラとトカラベラの幼魚を対象に、日中行動についての観察調査を実施した。いずれも幼魚が単独で他魚類と混在して採餌する行動パターンを主にしており、同種の群らがりで採餌する瀬戸内海の優占種キュウセンおよびホンベラと大きく異なることを確認した。この幼魚の生育環境の相違が一次雄の出現頻度に大きく影響を与えている可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Social control of terminal phase transition in primary males of the diandric wrasse, Halichoeres poecllopterus (Pisces : Labridae)2007

    • 著者名/発表者名
      Yoichi Sakai
    • 雑誌名

      Journal of Ethology 25 ・ 1

      ページ: 57-61

  • [雑誌論文] 雌性先熟性雌雄同体魚キュウセン属Halichoeresの一次雄に対する雌性ホルモン投与実験2007

    • 著者名/発表者名
      三宅優子
    • 雑誌名

      広島大学大学院生物圏科学研究科瀬戸内圏フィールド科学教育研究センター報告 4(印刷中)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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