研究概要 |
有明海および函館湾において、ホンヤドカリ、ユビナガホンヤドカリ、ケアシホンヤドカリ、ヨモギホンヤドカリを対象種として、繁殖フェノロジーを野外調査すると同時に、函館湾においてホンヤドカリ、ケアシホンヤドカリ、ヨモギホンヤドカリを対象種として、野外で採集された個体を3日間飼育して成長フェノロジーを調査した。これらの調査については現在進行中だが、ヨモギホンヤドカリの繁殖・成長フェノロジーが他種とは大きく異なる傾向が得られている。 また、ホンヤドカリを対象種として、土佐湾個体群と函館湾個体群の交尾直前脱皮頻度を比較した。その結果、いずれの個体群のメスでも、不連続産卵個体のほうが連続産卵個体に比べて脱皮頻度が高かった。また脱皮頻度の時間変動が大きく、土佐湾では繁殖期の初期である11,12月よりも繁殖盛期の1,2月のほうが連続・不連続個体ともに脱皮頻度が高かった。また、繁殖盛期の方が連続産卵頻度が高かった。一方、函館湾では繁殖期の初期にあたる4月および5月上旬と後期の6月下旬および7月上旬の方が、繁殖盛期である5月下旬および6月上旬よりも、連続・不連続産卵個体ともに脱皮頻度が高かった。ところが、函館湾では繁殖盛期に連続産卵頻度が低下する傾向が認められた。これらの地域間変異と各地域における時間変動パターンは、本種の成長と繁殖における資源配分が水温や餌条件などの環境条件によって大きく左右されることを示唆している。平成18年度はおもに飼育実験によって、これらの環境条件の影響を検証する予定である。
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