コガタコガネグモ(Argiope minuta)、ナガコガネグモ(Argiope bruennichii)、ギンメッキゴミグモ(Cyclosa argenteoalba)ヨツデゴミグモ(Cyclosa sedeculata)について、網の中心部にある隠れ帯および体色について300-700nmの波長領域で反射特性を測定した。隠れ帯については、コガタコガネグモ、ギンメッキゴミグモでは紫外線領域で可視領域より相対的に強い反射が見られる一方、ナガコガネグモでは両者は同等であり、ヨツデゴミグモでは可視領域の反射が強いというように、種間変異が見られた。今年度の調査地においてナガコガネグモが見られたのは本種の典型的な生息場所とは異なっていたのでこれを除いた3種を対象に、網が張られた場所の環境光を測定したところ、紫外線領域の光が可視領域と比べて相対的に最も強いのは、コガタコガネグモであり、次にギンメッキゴミグモ、ヨツデゴミグモ、の順であった(ただし調査機材の制約により、本年度の結果は晴天時のみのものである)。これらのことから、隠れ帯の「色」は造網場所の環境光に対応して、より「目立つ」ような性質を備えているという可能性が示唆された。体色については、紫外線を良く反射する順にギンメッキゴミグモ、コガタコガネグモ、ヨツデゴミグモ、ナガコガネグモの順であった。また、コガタコガネグモの背景について計測したところ、紫外線領域では光は弱かった。このことも、隠れ帯が「目立つ」機能を有している仮説を支持すると考えられる。
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