研究概要 |
本年度は、GAI/RGA相互作用因子として、GAF1因子を単離し、RGA/GAIとの相互作用部位の同定および、GAF1の機能解析を行った。まず、pull down assayにより、GAF1とGAIの相互作用をタンパク質レベルで確認した。次に、酵母を用いた解析より、GAF1は、GAI類縁のRGA,RGL1,2,3のいずれにも結合すること、RGA/GAIとの相互作用には、17アミノ酸残基が必要であり、この領域を欠失させた変異体GAF1は、GAI/RGAと相互作用しないことを明らかとした。 また、GAF1は、一次構造よりDNA結合能を有する転写因子と考えられた。ゲルシフト解析により、塩基配列特異性を持ったDNA結合能を有することを明らかとした。GAF1過剰発現体を作製し、その表現型を解析した結果、ジベレリン合成阻害剤存在下において、発芽、及び開花時期の促進が観察された。発芽、及び開花時期の制御には、ジベレリンが関与する事が知られており、GAF1はジベレリン信号伝達経路において、RGA/GAIの下流で機能する転写因子であると考えられる。今後、GAIと相互作用しない変異体GAF1等を用いて、RGA/GAIによるGAF1の機能制御機構を明らかにしていく。 GAF1の標的遺伝子を探索するため、ジベレリン応答遺伝子および、花成制御遺伝子に焦点をあて、GAF1過剰発現体において、発現量が変化している遺伝子を探索している。現在までに、マイクロアレイ解析等によってGAF1転写因子の標的遺伝子の候補を複数単離している。GAF1結合配列等の情報をもとに、GAF1標的遺伝子の同定を行っている。また、GAF1遺伝子の機能解析の一環として相互作用因子を単離し、GAF1の機能調節機構についても解析を行っている。
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