研究課題
植物の側性器官である葉や花の形態形成に関わる新規遺伝子を単離するため、葉の形態に多面的影響を与えるasymmetric leaves2(as2)変異体の表現型を亢進する変異体の遺伝解析と2回目のスクリーニングを行った。今年度は4系統のマッピングと3系統の原因遺伝子を同定し、新しい表現型の変異体を多数得た。前年度に得られた棒状の葉を生じる#27、#43の原因候補遺伝子のcDNAを解析した結果、変異体#27では1アミノ酸置換、#43では途中で翻訳終結した遺伝子産物が生じると予想された。そこで#27に関して相補性検定用に形質転換を行い、as2と遺伝的相互作用するDCL1やRDR6との遺伝解析用の材料を作出した。棒状の葉を形成するYM#16,YM#36,YM#37は、AS2との遺伝的相互作用を確認した。精密マッピングによりYM#37は原因遺伝子候補を特定し、YM#36は染色体5番下腕の約130kbの領域に限定した。YM#16も染色体5番下腕に位置づけられた。これらの遺伝子を関連づける報告はなく、葉の向背軸形成には複数の経路が関与することが示唆された。葉の切れ込みが著しい変異体N7はマッピングを行い、AGO1遺伝子に1塩基置換が確認された。前年度のスクリーニングで抑圧変異体が得られなかったため、今年度は下流遺伝子BP/KNAT1プロモーターの下流にGUS遺伝子を導入したas2-1をEMS処理し、M1個体を約8000用いた。約3500系統分のスクリーニングから839個体の候補が得られ、一部の表現型を抑制する変異体も数系統確認された。新たな表現型としてホルモンフリー培地で緑色カルスやシュートを生じる変異体が複数系統得られた。as2変異体では野生型に比べin vitroでのシュート形成効率が上昇することから、亢進変異体の候補と考えられた。
すべて 2007
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The Plant Journal (印刷中)