研究課題
本年度は、シロイヌナズナのジベレリン不活性化経路に関する生化学的・遺伝学的解析を行い、以下の知見を得た。また、イネにおいて新規ジベレリン不活性化反応を発見し、その酵素遺伝子を同定した。1.シロイヌナズナの種子発芽過程で温度依存的に発現するAtGA2ox9の基質特異性を検定したところ、大腸菌で生産した組換え酵素はGA_<12>をはじめとする複数の前駆体GAを基質にすることが明らかとなった。2.AtGA2ox9を過剰生産する形質転換シロイヌナズナを作出した。また、AtGA2ox9およびAtGA2ox10のT-DNA挿入変異株のホモ接合体を得た。これらの形質転換株と変異株を利用して、来年度は当該遺伝子の生理機能を詳細に解析する予定である。3.AtGA2ox9の組換え酵素を利用し、前駆体GAの不活性化によって生じる各種GAの定量分析に必要な内部標準物質(安定同位体標識体)を調製した。今後、これらの内部標準物質を利用して、植物体内の不活性型GAの動態をGC-MSを用いて解析する予定である。4.イネの徒長型変異株euiの解析から、シトクロムP450酸化酵素の一つであるCYP714D1がジベレリンの16,17-エポキシ化を触媒すること、EUIによる16,17-エポキシ化はジベレリンの新規不活性化反応であることを明らかにした。5.シロイヌナズナに二つ存在するEUI類似酵素の生化学的、生理学的機能の解析を開始した。予備的な実験結果から、これらの酵素もジベレリンの不活性化に関与することが示唆された。
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The Plant Cell 18巻
ページ: 442-456
The Plant Journal 45巻
ページ: 804-818